近年、注目を集めているベトナムオフショア開発。ベトナム人材のスキル向上や「オフショア開発企業」が数多く立ち上がっていることで、活用する企業様が増えています。
一方で、ベトナムオフショア開発には課題も多く存在します。日本人とは異なる文化や思考を持つ外国人を活用していくため、オフショア開発で効果を上げるためにはノウハウや経験が必要となります。
オフショア開発を検討される企業様の最大の懸念は、
「成果物の品質は悪くならないか?」
「プロジェクトの納期は遅延しないか?」
など、開発プロジェクトの失敗ではないでしょうか?
そこで本記事では、オフショア開発が失敗してしまう理由と、どうすれば成功できるか?について紹介していきます。
オフショア開発の失敗事例と成功のポイントについて理解を深めていただき、検討のお役に立ててくださいね。
●オフショア開発が失敗してしまう理由
ではまず、オフショア開発の失敗事例について、代表的な例を3つ挙げていきます。
① プロジェクトの主旨や目的、ミッションが共有されていない
日本人同士の仕事でもプロジェクトの目的やミッションが共有されていないと、意思統一できず品質やパフォーマンスに影響が出ます。オフショア開発の場合、プロジェクトの理解により多くの時間をかけないと上手くいきません。
日本とオフショア先では、文化や環境が異なるため「あたりまえの感覚」に違いが生じます。例えばスマホアプリのUI(ユーザーインターフェース)を開発する場合、日本とオフショア先での「アプリUIに対する認識」は異なります。「このUIがなぜユーザーに使いやすく、ユーザーの何を解決するのか」など目的を共有しないと、本当に品質や使い勝手の良い成果物は生まれません。
プロジェクトの趣旨や、利用するユーザー、そもそもこの開発がどのような意味を持つか?などを共有できてない場合、失敗につながりやすいです。
② 品質管理が徹底されていない
オフショア開発ではプログラミングの開発スピードが速く、成果物は早く上がってくるものの「肝心の品質が今ひとつ」というケースがよくあります。
日本の開発現場のように開発者がテストコードを書くことが習慣化されておらず、テストを行う場合でも、日本のテスト基準を満たしていない場合が多くあります。日本側でのテストが必要となり、テスト工数とバグ発見後の修正工数が発生します。結果として納期遅延を引き起こし、「コストが増加した」という事例が多く発生しています。
「日本側からテスト仕様書を提示して指示する」「専属のQA(サービス品質担保)チームがあるオフショア開発会社に依頼する」などの解決策を講じないと、品質が担保された成果物に仕上がるのは難しいです。
③ 海外の文化や国民性による認識の違い、コミュニケーション不足
外国でビジネスを進める場合、文化、生活文化、商習慣など、国ごとに相違する「文化や国民性の理解」が重要です。歴史的背景や仕事に対する意識、時間管理、考え方の差などから問題は発生します。
オフショア先の文化によっては、発注元の真意を確認しないまま「作業手順、仕様、納期を変更してしまう」ことや、「時間感覚がルーズで納期を厳守しない」といった問題が起きることが少なくありません。
また国内であれば母国語同士の話し合いのため、細かいニュアンスもしっかり理解することができますが、オフショア開発の場合、コミュニケーションは基本的に英語となります。仕様のミスマッチ、納期の間違いなどが発生しやすく、コミュニケーション不足が原因で開発が失敗するケースがあります。
●オフショア開発を成功させるための3つのポイント
では上記の失敗事例を踏まえて、オフショア開発成功のポイントを見ていきましょう。
① 開発をスタートする前にメンバーと開発の背景、目的を共有する
開発プロジェクトの背景や目的を事前に共有することは、メンバーの責任感やモチベーションアップにつながります。
「お客様ビジネスの理解」「開発プロダクトの目的」「ユーザーはどんな人なのか」などを理解することで、自分達が手掛ける開発がどのような意味があるのか、具体的なイメージが沸きます。
またサービス立ち上げ時にオフショア先へ訪問し、開発メンバーと直接話す機会を設けることが有効です。メンバーに対して、「なぜこのプロジェクトを始めるのか」「なぜこのメンバーが選ばれたのか」「何を期待しているのか」など熱意をもって伝えることで、より一層やりがいを感じるはずです。
② 品質を維持・向上させる仕組みを作る
仕様理解や進捗管理のサポートを行うため、オフショア先に日本人のプロジェクトマネージャーを立てるなど、品質維持につながる体制作りが重要です。
組織やチームの中で役割分担し、QAチームの整備など「問題の早期発見・改善施策を徹底し品質改善させる仕組み」がオフショア開発成功のポイントです。オフショア開発メンバーのスキルに依存することなく、品質向上の役割を果たす体制作りが成功には不可欠です。
③ 文化や国民性の違いを理解し、コミュニケーションを活性化させる
日本人の感覚をもって「普通はこうだ」「普通はこう書かない」といった、感覚的な指示や判断はオフショア開発では厳禁です。誰もが納得する明確な判断基準(定量的な数値など)を常に提示しましょう。
また週に1度は必ずオンラインのWEB会議を開き、メンバーと積極的にコミュニケーションを図ることも重要です。「一つのチームとしてより良くしていこう」という意識を共有し、チームメンバーと一緒に考え、エンジニアの意見や提案も取り入れることでモチベーションを高めていく「チームビルディング」が有効です。
ベトナム人の場合、家族的なつながりを求める国民性があります。例えば半年や1年に一度は現地へ出張し、実際に会って話す機会を作り一緒に食事したりすることで、より一層の仲間意識や信頼関係の構築につながります。
■まとめ
いかがでしたでしょうか? オフショア開発の代表的な失敗事例をもとに、成功のポイントを紹介いたしました。
ベトナムオフショア開発を成功させる一番のポイントは「コミュニケーション」であると言えます。コミュニケーション不足に起因する品質低下を、いかに防ぐ体制作りがオフショア開発成功の秘訣です。
当社ではオフショア先の日本人スタッフをはじめ、国内の日本人スタッフも管理者としてプロジェクトの品質管理に務めております。チームスタッフと定期にコミュニケーションを取り、きめ細やかなサポートのもと高いレベルで安心・安定の制作を進める体制が整っております。
オフショア開発をご検討の際は、ぜひGIANTYにご相談頂ければ幸いです。
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