AIエージェントとRPAの違いと活用方法 ~ビジネス現場での最適な使い分けを考える~
- saikatuakira
- 4月28日
- 読了時間: 5分

近年、業務の効率化・自動化を目的に「AIエージェント」や「RPA」という言葉を耳にする機会が増えました。
しかし、両者は似ているようで、その本質や得意分野には大きな違いがあります。この記事では、AIエージェントとRPAの違い、使用シーン、導入事例、活用方法について分かりやすく整理し、最後にビジネス活用のポイントをまとめます。
1. AIエージェントとは?
AIエージェントとは、人工知能を活用して人間の代わりにタスクを遂行するプログラムのことです。一般的にAIエージェントは、単なる指示の実行だけではなく、状況判断、意思決定、対話、学習などが可能です。
たとえば、チャットボット型のカスタマーサポート、営業支援AI、タスク管理アシスタントなどがこれにあたります。最近では生成AIを組み込んだ高度なエージェントも登場しており、ユーザーとの対話を通じて最適な行動を選択することが期待されています。
2. RPAとは?
RPA(Robotic Process Automation)とは、人間がパソコンで行っている定型業務をソフトウェアロボットに代行させる技術です。基本的には、あらかじめ設定された「手順」を正確に再現することが目的であり、「学習」や「判断」などはしません。
たとえば、データ入力、請求書発行、受発注処理、社内システム間のデータ転記など、決まった作業を高速かつミスなく実行するのが得意です。
3. 違いまとめ
比較項目 | AIエージェント | RPA |
主な目的 | 知的作業の代替・意思決定補助 | 定型業務の自動化 |
柔軟性 | 状況に応じた判断・応答が可能 | 決められた手順のみ実行 |
学習機能 | あり(自己学習・改善) | なし(ルールベース) |
導入の難易度 | 中〜高(設計・学習が必要) | 低〜中(設定すればすぐ稼働) |
代表例 | カスタマーサポートAI、営業支援AI | データ転記ボット レポート作成ボット |
4. 使用シーンの違い
■AIエージェントの使用シーン
カスタマーサポート
→ 顧客の質問に対話形式で柔軟に対応し、必要に応じて人間にエスカレーション
営業活動支援
→ 顧客情報をもとに次のアクションを提案したり、案件管理を自動でサポート
人事・採用活動
→ エントリー内容から最適な候補者をスクリーニングし、インタビューを自動化
タスク管理・アシスタント業務
→ スケジュール調整やリマインドを行い、効率的な時間管理を支援
■RPAの使用シーン
請求書発行・管理
→ 売上データから請求書を自動生成・送付
データ入力・集計業務
→ システム間の情報を転記、エクセルデータをまとめる
受発注処理
→ メールで受注した内容を基幹システムに自動登録
レポート作成
→ 定期的な業務レポートを作成・配信
5. 【導入事例】知的作業と繰り返し作業の具体例
【知的作業(AIエージェントが活躍する領域)】
カスタマーサポートの一次対応
→ 顧客の質問内容を理解し、FAQの中から適切な回答を提示。複雑な問題は人間オペレーターへエスカレーション。
営業リードの優先順位付け
→ 顧客の行動履歴や過去データを分析し、購入確率が高いリードを自動でリストアップ。
採用スクリーニング
→ 応募者の履歴書データから条件に合う候補者をピックアップし、次の選考段階に進める。
社内ヘルプデスク対応
→ 社員からのシステム利用に関する問い合わせを自然言語で理解し、自動回答する。
【繰り返し作業(RPAが得意な領域)】
請求書発行業務
→ 顧客データベースから売上情報を抽出し、請求書を自動生成・送付する作業を自動化。
在庫管理システムへのデータ登録
→ 毎日変動する在庫情報をエクセルから社内システムへ入力・更新する作業。
定型レポート作成
→ 売上データを収集し、決まったフォーマットで月次レポートを作成・上長に送信する。
受発注処理
→ メールで受けた注文内容を販売管理システムに登録し、出荷指示を自動で発行。
6. 活用方法と導入ポイント
■AIエージェントの活用方法
AIエージェントを活用する場合は、「人の判断が必要な領域」に着目しましょう。特に、顧客対応、意思決定支援、クリエイティブな提案など、単純なルーチン作業ではない場面に効果的です。
また、AIエージェントは学習データの質が非常に重要です。適切なデータをもとにチューニングすることで、精度が向上し、ユーザー満足度も高まります。
【ポイント】
小規模な業務から段階的に導入
成果を検証しながら運用
人間とAIの役割分担を明確にする
■RPAの活用方法
RPAは、まず「繰り返し作業が多い領域」を見つけることから始めます。作業手順が明確であり、例外対応が少ないほどRPAとの相性が良く、導入効果が短期間で得られます。
たとえば、月次レポート作成や定型的な経理処理は、ほぼ人の手を介さずに自動化が可能です。
【ポイント】
手順が明確な作業を選ぶ
初期設定・メンテナンスを簡単にできる仕組みを作る
トラブル時に素早く対応できる体制を整える
7. まとめ
AIエージェントとRPAは、どちらも業務効率化を目指すテクノロジーですが、目的や得意分野が異なります。
AIエージェント → 「判断が必要な知的作業」を支援・代替
RPA → 「定型的な繰り返し作業」を正確かつ高速に実行
ビジネス現場では、両者を適材適所で組み合わせることで、さらに大きな効果を得ることが可能です。
まずは自社の業務を棚卸しし、AIエージェント向き・RPA向きの領域を見極めることから始めてみてはいかがでしょうか。
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